【音大卒社会人登壇イベントレポート】後編:お仕事&音楽生活について
こんにちは!音大生就活支援サービス「ミュジキャリ」編集部のなつぼっくりです。
今回は、先日行われたイベント「演奏活動はバイトしながら?それとも…?~音大卒社会人に聞く音楽の続け方~」のレポート後編をお届けします!(前編:就活エピソードについてはこちら)
イベントは、ミュジキャリ代表の白鳥さゆりがファシリテーターとして、登壇された方々にお話を聞いていく形で行いました!それでは早速、当日の様子をお伝えしていきたいと思います♪
お仕事のやりがいや大変なことについて
白鳥:お仕事をされている上でのやりがいや、大変なところを教えて下さい!
Tさん(メーカー):先日、展示会でお客様の質問に何でも答えられるよう、かなり勉強していたのですが、お客様が「こんなに丁寧に説明して貰ったのは初めて」と喜んでくださったのを人づてに知って、とても嬉しかったです。上司からも「若手なのによくアテンドできている」と言われ、自分が努力した分、人から喜んでもらうことにやりがいを感じています。
大変なことは、営業なので売り上げを上げないといけないことです。弊社のシェアは上がっているのですが、市場は縮小しています。それと反比例して売り上げを伸ばしたくても、お客さんに受け入れてもらえないこともあって、売り上げを伸ばすのは大変です。
白鳥:「大変」の視座が高い!(笑)展示会の話素敵ですね。仕事は頑張った分だけ報われる、というのが伝わってきました。Sさんはいかがですか?
Sさん(人材):わたしは現在、RENEW株式会社に音楽業界への貢献を目指し、仲間入りさせてもらっています。新卒の就活支援をメインに行っているため、一般企業に音大生の魅力が伝わった瞬間は嬉しいです。面接で選考のフィードバックを頂くことがあるのですが、音楽の知見がない人事から高い評価をもらえた時に、「どや!」となります(笑)
大変なのは特に1社目で、音楽しかやってないので、一般的に生活していたら知っているようなことも知らなかったことです。基本的なことでも分からないことが多く、初めは大変でした。
白鳥:なるほど。音大生に対して企業からどういうコメントがくるんですか?
Sさん(人材):よくあるのは継続力、そこに対してずっと続ける努力家なところです。泥臭さは営業の方にも評価してもらえます。
白鳥:御三方もそうだけど、そういうことが伝わる面接ができれば評価してもらえるんですね。逆に評価してもらうには?
Sさん(人材):音楽用語を使いすぎないことですね。相手に伝わるように話すことが大切です。「自分が大変だった」という伝え方よりも具体的に数字を使って、音楽を知らない人にも伝わる努力をすることだと思います。
白鳥:客観的に伝わるよう努力するのは大切ですね。Yさんいかがでしょうか?
Yさん(金融):やりがいは、やればやるだけ成果が出ることです。金融の知識は学校で教わらないので、社会的に成功していても知らない人が多く、感謝してもらえるのも嬉しいです。
大変なのは…銀行は半沢直樹みたいな人もまあいるし、そういうこともいるので(笑)いかに受け流していくかというところは、なくもないです。同僚も、高学歴な人も多いので、ITや英語の知識で圧倒されることもありますが、自分の役割を見つけながら仕事をしています。逆に社会に出ると学力が全てではないです。音大特有のしつこさしかないところからスタートしました。心配しすぎることはないと思います!
白鳥:社会に出て仕事をすると、オーケストラみたいに定員があるというよりは、色々な仕事があるし、必要な「らしさ」も違って、「学歴があればできる!」という訳ではないですよね。そうした時に、Yさんらしい会社での生き抜き方っていうのはどんなものなんでしょう?
Yさん(金融):何度も言いますが、こつこつ継続できる人は意外と少ないです。そこしか自分の武器はないと思っています。営業のトライアンドエラーは途中で諦めてしまう人が殆どのなかで、試行錯誤しながら取り組み続けるのが武器になっています!
思うのは、音大生は先生とレッスンをしていて、目上の方との関わり方・マナーがよくできているということです。お客さんと関わる時に「ちゃんとしている」と褒められることもありますね!先生の前での振る舞いで、休まない、遅れない、服装をちゃんとする…など鍛えられましたね。
白鳥:先生より怖いお客さんは、いないですね(笑)ありがとうございます。良い話を沢山聞けました。仕事の世界だと、やった分だけ報われて感謝されるし、次の仕事にも繋がりますね。
どんな風に音楽を続けていますか?
Tさん(メーカー):去年の12月に演奏会に参加しました。演奏活動メインという程ではなくて、2年目なので仕事を手につけたいと思っています。学生時代の力を保持するよう好きように弾いています。バッハの平均律を全部弾いたりしています(笑)
演奏会前は、平日仕事があるときは7〜8時に練習して、定時に切り上げて7〜8時に弾いて帰るようにしていました。本番の有無によって調整しながら続けています。
白鳥:一人暮らしですか?
Tさん(メーカー):そうですね。家に電子ピアノはありますが、ピアノを弾くために実家に帰って弾いたり、近くの練習室を借りて練習したりしています。
白鳥:Sさんはどうですか?
Sさん(人材):直近だと去年は4つコンサートに出演し、就職してからもコンクールに挑戦しています。積極的に受けることを意識しています。「留学までしたのに就職するの?」と反対されたこともあったので、「働きながらでもできる!」というのを見せたいという負けず嫌いをモチベーションにやってきました。
Tさんと一緒で、仕事前に1時間前、仕事終わって8時に切り上げて、8:30〜10:30までスタジオを予約しています。サイレントピアノを置いてるので朝はそれを使って、夜はスタジオで弾くという感じですね。
白鳥:スタジオの活用、大切ですね。Yさんは?
Yさん(金融):去年・一昨年は年に3〜4回、室内楽や、学生時代のヴァイオリンの子とリサイタル、ホルンの伴奏を続けています。室内楽や歌の人と、先に演奏の場を作るようにしています。練習方法はお二人と一緒で、家には電子ピアノしかおけていません。譜読みをする程度は家にやって、帰りはスタジオを予約して、土日は練習室に籠ります。1日弾くのは無理でも、練習の内容を考えて移動中に楽譜を見たり音源を聞いたり、効率を重視しています。
白鳥:効率大事…!Yさんは結構伴奏している印象がありますが、そういう続け方をしたい人も多いのではないかと思います。どうやって続けていますか?
Yさん(金融):学生の時からのつながりで、そのままお願いしてもらっています。あとは、「伴奏やりたい!」と発信したり、音楽で生計を立てたい友達と社会人になっても繋がりを保ったりするのは大切です。
白鳥:営業みたいな感じ!スタジオの活用は肝になりますね。ライフスタイルが変わって、常にピアノがそばに置けるとは限らないですもんね。
仕事と音楽の両立のコツは?
Tさん(メーカー):スケジュールを立てることです。どのくらい練習が必要で、この計画通りにやれば大丈夫という風にスケジュールを決めて、安心して仕事と演奏にそれぞれ集中することを大切にしていました。
白鳥:まさに仕事みたい!(笑)学生だととりあえず練習、ってやりがちだけど、仕事みたいにやると効率的ですか?
Tさん(メーカー):そうですね。夜も自分で音源を聴いて楽譜を読む、というのをやっています。学生の時から練習のやり方は変わっていて、短い時間でいかに仕上げるかを工夫しています。
白鳥:Sさんは?
Sさん(人材):仕事を始めると1日簡単に過ぎるので、固い決意が必要です。ご飯と同じように日常のルーティーンに練習を組み込むことが大切だと思います。スタジオを借りる場合は、先に予約しその時間までに必ず仕事を終えるように調整します。
学生時代と比べると時間がないので、スケジュールを組むのも大切ですね。ポストイットでポイントを書いて、次の練習でできているかチェックしています。無駄をなるべくなくすようにしました。つい、なんとなくの反復練習をしがちですが、課題を可視化してやるようにしています。
Yさん(金融):私も2人と同じです。社会人の続け方ってみんなそうです。効率的に進めるための工夫として、音楽を考える時間を増やす、イメージすることが大切だと思います。学生の時より反復練習は減りますが、本番の時は意外と大丈夫。指を動かしたい時は、ピアノがなくても動かせます。器具も売っているので、それを移動時間に使っています。仕事も音楽も、家族の協力も必要。家事はこの期間できません!と宣言しています(笑)
白鳥:旦那さんに?
Yさん(金融):そうですね。「私がダメなときはやってもらって、終わったらやります」というバランスも必要です。
白鳥:皆さん工夫されていますね。計画を立てること、触れない時間を活用すること、強い意志が持つことが大切ですね。
中長期的な夢について
Tさん(メーカー):仕事面だと、まだ自分の仕事の仕方見が見つかってないので、自己分析をやりながら、自分らしい働き方を見つけたいです。音大生とみんな知っていて色々聞いてくれるので、自分の専門だったピアノ以外の座学的なことも勉強したいと思っています。
Sさん(人材):大きく言うと、自分自身が音楽に受けた恩恵に対して、恩返しがしたいです。今、音楽はお金にならなくてやめてしまう人も多いですが、もっとクラシック音楽を多くの人に魅力に伝えたいですし、諦めずに取り組み続けられる環境を提供したいです。演奏家のみだと安定した生活は難しいですが、別の形でも音楽を続けられる!思う人が増えてくれたら嬉しいです。
Yさん(金融):今の会社と仕事が好きなので、キャリアアップを目指したいです。音楽と金融どちらもやってみた上で、才能があってずっと努力しているフリーランスの人が、金融に関する知識やフォローがなくて苦労することがないように、安心して音楽を続けられるためのサポートをしたいです。
あとは、音楽を続けたいです。今はどちらかと言えば会社員として暮らしていますが、演奏家としての比重を上げたいと思っています。
白鳥:皆様、素敵な夢をありがとうございます!
音大生・音大卒業生へのメッセージ
Tさん(メーカー):今はこうして皆さんの前でお話をしていますが、私も2年前はがむしゃらにやっていました(笑)今日は「練習の効率化」みたいな話をしましたが、学生の時は沢山ある時間を好きなように使ってもらいたいです。就活でいろんな業界見たり、ピアノを弾いてみたいように一杯弾いたり、無駄にしないようにだけ気をつけて、好きに過ごしてほしいです。頑張って下さい!応援しています。
Sさん(人材):本当に今、時代が多様化していて、音楽業界にとってプラスだと思います。音楽だけを生業にするか、それ以外か、ではなく複数から選べる時代だと思います。これからもやりたいことは諦めずに取り組んでほしいです。
Tさんと重なりますが、将来に不安を感じることはあると思うけれど、音楽に対して全力で取り組んでほしいです。学生時代の取り組みや頑張りは、必ず意外なところで役に立つし、やり切ったという経験は裏切らないので全力で頑張ってください。わたし自身も頑張るので、皆さんも音楽の魅力をどんどん伝えていってほしいです!
Yさん(金融):この場にいてくださるということは、音楽を伝えたいけど将来は不安、という人が多いのではないでしょうか?わたしも学生の時はそう思っていました。やめるかどうするかの2択になっていたけれど、複数選べるのは間違いないと思っています。経済的に自立しながら音楽を続けるのは、できることなので安心して下さい。就活が忙しい時は楽器が触れずジレンマを感じることはあるかもしれませんが、必ず戻ってこれます。いつでも戻ってこれるので、色んな選択肢を考えて頑張って下さい!
白鳥:本日は、ありがとうございました!
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編集の私もイベントに参加していましたが、音大卒の先輩方が、熱く語られている姿に感動し、「自分もこんな社会人になりたい!働きながら音楽を続けたい!」と改めて強く感じました…!
さて、この後も質疑応答で盛り上がりましたが、今回の記事はここまで。音大生&音大卒業生の方で、就職について相談したい方は以下の面談ページからお申し込み下さい♪
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